あの島に移り住むまで

〜「好きな本から」を書きたくてはじめたけどいろいろ書いちゃってるブログです〜

強くないけど自慢のいい耳

 

耳が痛い。

 

何かに対して耳が痛いのではなくて、体感として耳が痛い。ズキッとする。原因はイヤフォンだろうなあと思っている。長時間音楽を聞いていると「耳から血が出てくるんじゃ!???」ってドキドキしてしまうくらい痛くなる。音楽が聴きたい気分が勝つとき以外は「ズキッ」がきたら耳を休ませる。別に聴きたくもない、世界の生活音を聴いて過ごす。

 

昔から耳が弱かった。聴力検査には、ほとんど引っかかってきた。

 

大好きなプールに入った後は何故かよく中耳炎になったし、耳抜きは最近までできなかった。風邪をひいたら必ず耳鼻科にも行くはめになったし、耳鳴りなんてよくよくあった。体が弱いくせに「異常」に疎いこともあって、音が5重になって聞こえるなんて経験もした。

 

「耳が痛い」

 

私にとってそれはよくあること。

 

なので、「お腹すいた」くらいの感覚で言ってしまう。それに対して、両親はとても敏感だった。祖母は左耳が聞こえない。だから、ということもあったのかも知れない。昔から、取り戻せない「視力」や「聴力」には、うるさかった。

 

暗いところでゲームしない!

テレビは離れてみなさい!

耳が痛くなったらすぐに言いなさい!

病院に行きなさい!

 

「ママもパパも『目』と『耳』は買ってあげられないよ。あるものを大事にしなさい」

 

よくよく、聞かされた言葉だった。

 

もう一度言ってみる。

 

私は耳が弱い。

 

「悪い」のではなく、「弱い」のだと思っている。

 

だって「耳がいい」と言われたんだもん。「耳がいい」って言ってもらったんだもん。

 

(笑)

 

音楽活動をする中で言われた言葉だった。それまで、聴力に自信がなかったのに一変した。毎年、聴力検査に引っかかって帰る私を両親は心配していたし、私だけ毎年追加で再検査されるだなんて、そう思うしかなったからだ。だけど、耳が大事な「音楽」に触れるようになって言われたことはその反対だった。

 

『あなたは耳がいい』

 

「まさか!!」と思った。正直、「やべぇ」と思った。

 

だって、私、耳がよくないはずなんです.......

 

占い師に全く心当たりがないことを言われたときのような感覚。プロに見当違いのことを言わせてしまった罪悪感(そう思うのも失礼だけど(笑))。だけど、一回じゃなかった。同じようなことを全く繋がりのないボイストレーナーたちからも言われた。

 

『耳がいいから、活かしなさい』

 

一人だけだったら「まさか」で終わったけど、何人か言われてしまうと「私、 耳、悪いわけじゃないのかも知れない」と思いはじめてくる。耳が痛くなるのは事実だし、耳が強くないことも事実。ってことは、耳が「悪い」というより、耳が「強くない」「弱い」が近いのかな??

 

そう思うようになった。

 

ずっと自信のなかった耳だったのに、今はこの耳が好き。大好き。 この耳の、感覚が好き。

 

どんなでも音楽はできるってこと、どんなでもそれがどこかで強みになるんだってことを知っている。どんなコンプレックスもいつかそれが光る時がくるってことを私は知っている。見方を変えれば、見せる場所を変えれば、そんなことがいくらでもある。機械感覚にはハマらなくても、人間感覚にはハマることだってある。その反対もある。それを私は知っている。

 

世界は“わからない”で溢れてる。世界はわかない。どうなるかわからない。

  

ズキッと痛むこの自慢の耳が“そう”だったから。

 

『大事にしなさい』

 

この言葉が今よく沁みる。

 

大事にしよう。

 

すでにあるものを。すでに持ってるものを。

 

このズキッと痛む繊細で自慢のいい耳を。