あの島に移り住むまで

〜「好きな本から」を書きたくてはじめたけどいろいろ書いちゃってるブログです〜

「いいのよ、お父さんはあれで」

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私のおばあちゃんは、夫(おじいちゃん)の身の回りのことをなんでもしてあげる人だ。

 

「おじいちゃんは熱かったら食べはらへんさかいにな、おばあちゃんがいっつも冷ましておいてあげなあかんねん」

 

一体、何を熱いままだと食べないのかは思い出せないのだけれど、亭主関白で、食べ物以外にもこだわりの多いおじいちゃんの一つ一つにせっせと動くのがおばあちゃんだった。

 

「おじいちゃんはこうやからな、おばあちゃんがこうしておかなあかんねん」

 

それが嫌々というより「もうっ!」みたいな仕方なさそうな感じで、面倒くさそうなのに少し楽し嬉しそうな感じで、いつも不思議だった。私の父も家では一歩も動かないけれど、「自分でやれよ!!」「それかせめてちゃんと頼めよ!」と空気が漂うから。心の底から「仕方なく!!」動くみたいな(笑)

 

おじいちゃんとおばあちゃんは昔からちがう。お互い、それがよくて、当たり前で、「お母さん」「お父さん」といつも呼び合って、本当に仲がいい。

 

そんな、夫のためにせっせと動いてた祖母のこと。

 

母親ウエスタン (光文社文庫)

母親ウエスタン (光文社文庫)

 

 

母親ウエスタン』という小説を読んで思い出した。

  

「また、食べるの」

「だって、お父さんと食べてる時は気が休まらないから」

「気が休まらないって」

「だって、お父さん、なんにもできないから、あれくれ、これくれ、あれとってくれ、うるさいじゃない」

「しらないよ。自分がもっとしつければいいじゃん」

「いいのよ、あの人はあれで」

 

娘と母の会話。娘の遅めの朝食と一緒にもう一度食べはじめる母をみて娘がいう。「また、食べるの」って。今はもうそんな家庭も少ないかもしれないけれど、私が見てきた“お父さん”たちはみんなそんな感じだ。父も祖父も叔父たちもそうだった。

 

「だって、お父さん、なんにもできないから、あれくれ、これくれ、あれとってくれ、うるさいじゃない」

 

あれくれ、これくれ、あれどこ、これどこ。

 

何かしたと思ったら面倒なことはそのままで(笑)

 

それでもお母さんとお父さんにある距離で不思議と成り立っていて、不思議と収まるようになってる。

 

「いいのよ、あの人はあれで」

 

いいのよ、昔からだから。

いいのよ、お父さんは。

 

不思議だけど、私はそれもいいなと思う。

  


 

母親ウエスタン母親ウエスタン (光文社文庫) 

 


 

そろそろ、おばあちゃんおじいちゃんに一度会いに行っておこうかな。