あの島に移り住むまで

〜「好きな本から」を書きたくてはじめたけどいろいろ書いちゃってるブログです〜

寄り道つきの会話と、寄り道なしの会話。

 

どうも、こんばんは。なつです。

 

最近「あ、これ、覚えがあるぞ。」と思いながら読む文章に出会いました。

江國香織さんのなかなか暮れない夏の夕暮れ (ハルキ文庫)

なかなか暮れない夏の夕暮れ (ハルキ文庫)

なかなか暮れない夏の夕暮れ (ハルキ文庫)

 

 

この本の中にあった。

それは、主人公“稔”の友達である“淳子”と“その息子”の会話でした。

淳子が旅行に誘うんです。本当は稔を誘うつもりだったけれどなかなか話せず、息子に声をかけてみる。「温泉行かない?」と。すると「行く」と返ってくる。

「行かない」と言われるかもしれないとかまえていたのに、あっさりと同意され、敦子は少し驚きます。そこからの会話・・・・

  

息子「行く、何県?」

 

敦子「二十七日の木曜日なんだけど」

 

息子「いいよ、何県?」

 

敦子「露天風呂とべつに、テラスにバスタブもあるの。贅沢なお部屋よ」 

 

もう、この時点で私は少し笑ってしまう。何度読んでも笑ってしまう(笑)この後、こう続きます。

 

キーボードから手を離し、ふり向いた息子は怪訝そうな顔をしていた。

 

「それで何県なんだよ」 

 

もう、、、本当に、、、笑ってしまう(笑)クスッと、ニヤニヤっと、笑ってしまう。何度読みかえしても面白い。

 

なぜなら、まるで私の母みたいだから。

質問の答えが返ってこないことにピリピリする父もしくは弟と、質問より喋りたいことが勝手しまう母が、何度読んでも頭に浮かんでくるこのシーン。すごく面白く思います。

 

淳子と息子のその場の空気がなんとなくだけどちゃんと分かることが面白い(笑)

 

淳子も息子も小説の中の人だけど、とてもリアルだなあと思う。

例えばこういうことってあると思うんです。

 

「今日何曜日だっけ?」と。 

そしたら、「金曜日だよ」これでいいはずなのに、

「今日はあのドラマの日だから、、、、金曜日かな?」 と返ってきたりする。

いや、、、ドラマがどうとかなんて聞いてないよ、、、と思う。

それが気にならない日もある。だけど、気になる日もある。

 

「金曜日かな?」でいいやろ!!みたいな(笑)

でも、ちょっと寄り道するくらいいいやん!!みたいな(笑)

 

こういうことがよくあります。うちの家ではよくよくある。

もしかしたら、あるあるなのかもしれないなあと。本を読みながら、ニヤニヤしながら、思いました。

 

 

質問に対して、端的にその答えだけを求めることは確かにシンプルですごくいい。無駄がない会話は気持ちがいい。例えば、少し苛立っている時だと、そんな会話力を求めることもある。

だけど、質問に対して少し大きめに膨らませて返す。それも、かわいいなと私は思う。

 

会話だもの、人と人だもの。

 

この本の淳子と息子の会話を目で追っていて、「あるなあ」と私はとても共感しました。

 

「だから、何県?」と言ってしまう息子の気持ちもわかる。だけど、淳子の気持ちもわかる。「悪い話じゃないのよ」「すごくいい温泉なのよ」と、先に伝えたい気持ちも、すごくわかる。

 

 

どちらの感情も、すごくわかるなあ。