最近、美容院に行った。なんと4ヶ月ぶりだった。
ブリーチをしていた時に通っていた美容院を2年ぶりに選んだ。理由はグラデーションカラーをしたくなったから。どなたが担当になっても想像よりよく仕上げてくれたこの美容院。なのに、行かなくなってしまった理由は、ブリーチをそろそろ辞めようと思ったのが1つとあからさまにムラがあるのに「いい色入りましたね」と言われたのが最後で行かなくなった。
そこから2年、前頭ブリーチだった髪も毛先だけになった。カラーバターを買って自分で楽しんでいたら「もう少し」と欲張りになってしまったのだ。
「もう少し.....」で、選んだのがグラデーションヘアー。
バッキバキの赤が入った。
髪の下の方がバッキバキの赤になった。
久しぶりの感覚。
とても気に入っている。
そういえば、今回担当してくれたのは男性。色むらがすごかった人ではない。
数年前ドライヤーをしてくれた少年。
これまでにお店を出たいと伝えた時間から40分も過ぎているというのに、ゆっくり丁寧に、ゆっくりすぎるくらい丁寧に、ブローしてくれた少年。人を待たせていてイライラし始めているというのに「綺麗な色ですね」とのんきにブローしてくれたあの少年だった。
そんな彼に、今回私は最初から最後まで担当してもらった。
「今日担当します、よろしくお願いします」と鏡越しに見えた時
(うわぉ!)と思った。
(うわぉ!彼、プロになってる)
「あっ!よろしくお願いします〜」
お互い、外用の笑顔で始まった。
綺麗にしてもらう中で感じた印象が1つ
(う〜ぅわ!!これはモテるな。)だった。
失礼だけど、本当にモテそうな雰囲気。今までの美容師さんで一番そう思った。
理由は、とてもゆっくりだから。全てがゆっくりな人だった。
ゆっくり落ち着いて話し、ゆっくり可愛く話す。ゆっくりカットする。ゆっくり髪の長さを調整し、ゆっくりカラー剤を載せる。ゆっくり歩いて、ゆっくりハサミを手に取る。お会計も、エレベーターのスイッチを押すのも、すべてゆったりしていた。多分、彼の生きる世界のスピードがゆったりしているのだと思う。せっかちな人が多い中で、ゆったりゆっくり息をしている人。
(モテそ〜〜う!遊んでそ〜〜う!)
失礼だけどそう思った。彼に何かコメントするなら「モテそうしかない」ってくらい。
ちょっと裏がありそうな、毒を持ってそうな、ゆったりした世界観。
「モテそう」でしかなった。
ああ、そうだ。
私こういうのに弱いんだった。
心の中で彼のことを書くことを決めながら、そう思った。
ペースのある人。ゆっくりの人。世界観が世界とズレてるような人。
私はそういう人に弱い。男性でも女性でも。
独特のスピード感を纏った彼は「モテそう」だった。
帰り際に気づいたことがある。
数年前、ブローしてくれた時の姿が一本の線になった。あの日、ゆったりだった姿。急いでる客を目の前に少しもいそがなかった彼の動き。そして、今回の彼の姿。ゆっくり丁寧にこなしてくれた彼の動き。
ああ、そういう人なのだ。そう思った。
お客さんとか、怒られせるとか、そういうことじゃない。ブローを任せられたから、きっちり自分のブローをする。それだけ。カットカラートリートメントできたお客さんだから、言われたことをする。それだけ。あとは、彼の世界時間で進んでいく。
面白いなあと思う。
次ブリーチを入れたくなるまで行かないだろうけれど、とても、面白い時間だった。アシスタントさんだった彼に、最初から最後まで担当してもらった時間。彼のイメージが点と点で千になった時間。
私も“ああ”なりたい。
ゆったり落ち着いた時間を身に纏いたい。
自分のペースだけを生きる、自分の地球時間を乱さずに生きる女になりたい。
そう思った。
4ヶ月ぶりの美容院デー