あの島に移り住むまで

〜「好きな本から」を書きたくてはじめたけどいろいろ書いちゃってるブログです〜

試し試される「面接」という時間

 

あれはいつだったか、アルバイトの面接で聞かれたことがある。

 

「接客するうえで大事にされてきたことはなんですか?」

 

聞かれる事がないわけではない質問だけれど、自分の中では予定してなった質問に戸惑ってしまった記憶がある。その日の面接を数字化するなら3点だった。

 

これまでに経験してきた接客業で大事にしてきたことを考えてみる。そんなものほとんどない。ただ、“ちゃんとする”。ただ怒らせないように、よく帰ってもらえるように、それだけだった。その日に急遽出した答えは「笑顔を忘れずにできるだけ良い気分で帰ってもらえるように心がけてきた」だったと思う。反応は最悪だった(笑)

 

改めて考えても「丁寧に対応することを意識する」気をつけてきたことといえば、それくらいだと思う。正解は何だったのだろうか。

 

 

そういえば、最近読んだ『落下する夕方 (角川文庫)』に、こんな言葉があった。

 

 

落下する夕方 (角川文庫)

 

接客業においていちばん大切なことは何か(そりゃ、と私は心の中で言い、きちんとしていることです、と、できるだけはっきりとこたえた)。

 

 

同棲していた彼と別れ、半分増えた家賃のためにアルバイトを始めようとする主人公「梨果」が、受けた面接中、はっしている言葉。結果「梨香」は面接に落ち、私も面接に落ちた。

 

仕方ない。仕方ないことなのだけど、試すような質問が私は大嫌いだ。“面接”なのだから、試されることは当たり前のことなのだけれど、なんだかなあと思う。その違和感は大概、不合格をもらうか、辞退することになる。「なんだかなあ」なのだ。

 

何が良くて、何がダメなのか。私には理解できない。何なら良くて、何だったらダメなのか、私には理解できない。何のためにその質問があって、何を知りたくてその質問をするのか。その質問は何といえばクリアされるのか、それは何故なのか、私には全く理解できそうにない。

 

これが「甘い」と言われるのなら、「甘い」人間で結構だ。

 

面接には色がある。お店にも色がある。面接官だって人間で、店をつくっている人だって人間なのだから、「好み」があったって仕方のないこと。どんなお店・会社で働くことになるのか、どんな色のお店・会社で働くことになるのか、大体はそのお店をつくる人をみれば分かる。だから、こちらも見る力は必要だと思っている。

 

例えば店長だっり、社長だったり、マネージャーだったり。好みやこだわりで「色」がでる。

 

できることなら、そこで働く代表者に「面接」をしてもらえるところがいい。こちらも選ばれるのなら、こちらだって選ぶ権利がある。こちらが試されるのであれば、こちらだって試す目があったっていい。お店の毎日を作る人の色が“お店”なのだから。働くことになるかもしれない場所の毎日を取り締まる人の色がこれから働くかもしれない場所だから。

 

「選び」「選ばれる」ことが大事なのだと思う。

 

こちらが試される場面で、こちらも試されながら見定める場面。「面接」って面倒だけれど、「面接」って面白い。“色”をみて、“色”に気づいて、面白いなと思う。

 

感覚は大事だ。 その空気感がそのまま職場となる可能性が高いから。

  

接客業においていちばん大切なことは何か

 

意地悪さがのってるのか、厳しさがのってるのか、優しさ、期待か。そういう空気、空気感。小さな温度の変化。目。声。言葉の雰囲気。

 

働く場所なのだから。見定められ、見定める意識。

 

「面接」

 

そんなことを思い出した。

落下する夕方 (角川文庫)』にある文章をを読みながら。

 

「接客するうえで大事にされてきたことはなんですか?」

 

そう聞かれた、心地よくなかった面接の日と一緒に。

 

そんなこともあったなあ。