あの島に移り住むまで

〜「好きな本から」を書きたくてはじめたけどいろいろ書いちゃってるブログです〜

扉の前まであった本

 

去年の10月と今日の10月を思う。今の私はアルバイトをしている生活がある。入った頃と業務内容は少しだけ変わり少しだけ肉体労働感が増えて疲れることもあるけれど、この先クビにならない限り続けられそうな日々が安定して流れている。考えてもなかった未来、考え深い。

 

それは私にとって当たり前ではなかったことだから。

 

“ふつう”に考えれば、フリーターがアルバイトをするなんてことはごくごく当たり前のことだろうなと思う。学校に行ってるわけでもなくて、独身で。お金を稼ぐ。働く。自立する。そんなことは世間で言えばきっと当たり前のことなのだろう。就職する。発信する。企業する。アルバイトする。生きていくために、大人として生きていくために、大人になるために。大人になってしまったのだから仕事くらいする。仕事する、お金を稼ぐ、自立する。当たり前のこと。そうと分かっていても全くといって「当たり前」とは思えなかったのが私だった。

 

「しない」とはちがう、「できない」という言葉の意味。「できない」とはちがう、「本当にできない」という言葉の意味。

 

約4年ほどあった期間で「アルバイトの面接」を受けたことは何度かあったし、「アルバイトの応募」をしてみたことは何度もあった。合格をもらって職場の下まで行ったことが何度かあって、入り口を目の前に引き返したことが何度もあった。いけないことだと分かってはいても、どうしてもダメだった。どうしてかダメだった。こんなことはきっと甘えであって言い訳でしかないのだろうけれど、本当にムリだった。消えたくなった。何度も何度も。「行かなかった自分」に、消えてしまいたかった。それでもダメだった。それが4年間もあった。

 

それでも今は週4日か5日ほど「おはようございます!」と店のドアを押して出勤している。

 

「いつかは」と思ってた未来、世間でいう「当たり前」の未来。心から不思議に思う。こうしている自分のことを。今の時間のことを。そして、ありがたいなあと思う。そうさせてくれている職場のことを。一緒に働いている方たちのことを。本当に感謝の気持ちしかないです。

 

そうしてここまできて思う。そういえば、と。

そういえば、面接にいく時も、面接に受かった時も持ち歩いていた本があったな、と。初日のギリギリまで読んでいた本があったな、と。慣れるまでの2、3週間、出勤のギリギリまで毎日開いていた本があったな、と。

 

 

『働きアリに花束を』

 

 

『死にたい夜にかぎって』

 

どちらも「爪切男さん」の本。この本があったから「頑張ろう」って思えた。この本があったから頑張れた。「いろんな人がいる」「いろんな働き方がある」「いろんな人生がある」「色々あっていいんだ」「私もできることをやればいいんだ」そう思えるような文章をギリギリまで目で追いかけながら自分のことを慰めて店まで歩いた。もしかしたらそんなつもりで書かれている本ではないのかもしれないけれど、「ダメでもいい」そう思えたのが「爪切男さん」の文章だった。「できることをすればいい」そう思えたのが「爪切男さん」の文章だった。

 

クセになる。クセになっちゃう人生が、クセになっちゃう文章が、すごく面白い本。

 

おすすめです。

 

「この世界にはいろんな人がいる」、そう思えるような文章があることは幸せなことだなあと思う。「私にはできないことだ」と臆病になっていた一歩が軽々飛び越えられちゃったりするから。「いろんな人の一人ででいいのだ」と思えた瞬間に小さな一歩になって飛び越えちゃってたりするから。

 

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ぜひ。